砥石への考察…
仕上げ砥に付いて西物の石が柔らかいとか東物が堅い等の風説や山に関しては、正直に言い
まして当てには成りません。砥石山の殆どは昭和60年前後迄に全国の9割以上閉山して
しまいました。(閉山理由は多種色々有りますが…)
砥石山の多くは無名の山が存在します。特に丹波系では顕著で当時は丹波国産と判を付く
寄り山城国産で判を付くと高く売れるので一部の業者が西物で堅い石が有ると有名な山の
名前を付けて販売していたという噂も有ります。又、山に関しましても閉山して30年40年
以上の有名な山が多く有り特に東物に関しては、当時から人気が有り採掘業者や卸業者が
多くの在庫を抱えていても年月には勝てません。仮に有りましても飛び上がる程の値段が
付いていたり有名な山でも粗悪な物が出回ったりするものが一部有ります。砥石の鏡面に
付ける印に関しても一部の名称を除いて商標登録等は有りませんので誰でも印を作成し印を
付く事が出来ます。
追記…
最近、砥石組合に加入していない某砥石業者が東物の販売を始め色々と豪語している
色々な所から情報が入って来ています。詳細は伏せますが確かに東物には間違い無い様
ですが情報を鵜呑みにせず半信半疑程度で聞き流すのが丁度良いと思います
平成29年4月1日更新…
当店では全幅の信頼出来る京都天然砥石組合に加入している卸業者で購入しています
又、確証の得られない石は京都産または京都正本山と致します。仕上げ砥に関しては京都
周辺でしか採掘されていませんので国や山に余り執着する必要は無いと思います。
(一部例外が有ります)(正直、卸元も採掘者も自分所以外の山の事に成ると埒外です)
但し亀岡市内で以前青砥を採掘されて現在、高齢に成られ年金生活されている方は
京都天然砥石組合を引退されているので此方の石は丹波亀岡産と表記しています。
尚、組合に加入されている卸業者も青砥は所持しているので其処からも仕入れています。
荒砥や中砥は、全国各地で産出されました。特に中砥は銘柄が非常に多いですが現在では
殆ど人造砥石に置き換わり市場には殆ど有りません。良く似た石が多数有りますが正直、
卸元でも目利きが出来る程、同じ銘柄の石に出会っていません。此の事は、卸元も此方も
出所が此処の銘柄と言われれば其れ迄です。仮に出所が石の銘柄を間違っていても卸元や
此方としても信用するしか無く如何様に対処の仕様が有りません事、御了承下さい。
現在の仕上げ砥とは一般的に合せか巣板です。細分化出来ても戸前・合さ位な物です。
自信が無ければ何でも合せで表記するのが無難です。又、巣板は別として砥石の種類は
掘った本人しか判らないそうで巣板でも合せに良く似た巣無しの巣板が混ざれば素人では
御手上げです。層の細分化は現状、掘った本人しか判ら無いので卸元や此方も手持ちの
試料を参考に色や風合いを見て経験と勘で付けているのが現状です。
専門家が砥石の皮を見れば砥石の皮は山事に表情が少しずつ違い何処の山か判るそうですが
正直言いまして当てには成りません。専門家でも頭を抱え間違える事も良く有り確証や
保証を付ける事は難しいのです。現状、卸業者や採掘業者を信頼するか卸業者でも仕入れの
際、採掘業者を信頼するしか方法が有りません。噂では採掘業者が他所の採掘業者から原石
を仕入れ自分が採掘した石として販売したとの噂が有り事実なら無茶苦茶で笑い話です。
(例として鳴滝から高雄を経由して月乃輪迄、本石成りの層が1本、走っています。此の
間に菖蒲谷・中山・大突・奥殿・伍千両と銘柄が有ります。菖蒲でも中山に良く似た石が
有り中山でも大突に似た石が有ります。逆の場合も然りです。どの様に考えますか…)
合石成りに付きましては仕上げ砥石の中では評価が低くネット上や業者間でも良い話は聞
ませんが有名な山と比較すれば確かに見劣りはします。しかし良い石は有りますので敬遠
する程では無いと思います。良い石に出逢えれば確かに肌理が他の仕上げ砥より粗いですが
準仕上げと考えれば納得出来ると思います。
合石成りに限らず天然砥石はJIS規格に当て嵌ら無いので有る程度の見識は必要ですが長年
砥石に携わっている人でも正直、判らないそうです。又、堅い砥石程、使い手を選びます
ので自分に合った砥石を選んで下さい。
天然砥石で砥いでいると刃先に熱を持ち硬化する現象が有りますが余り刃物に取って良い
事では有りません。刃先を硬化する現象の原因は、天然砥石の中に含まれている硫黄が関係
しています。硫黄と鉄が結び付くには、天然砥石の中に含まれる硫化カルシウムや炭酸
カルシウムが水に溶け出し水酸基を生成する事に寄り砥糞や水の中に含まれる鉄分が硫黄と
化学反応を起こして熱を発生し硫化鉄を刃物の表面で発生するので刃物が硬化し変色する
原因に成ります。
硫黄は鉄と結び付くと硬化現象を引き起こしますが反面、鉄を脆くする現象も併用します。
製鉄所では鉄を精製する際、脱炭工程の前に一番に脱硫工程を行う程、重要工程です。。
砥いでいる最中、変色作用を良く錆びと勘違いされますが錆びは狭義的には、刃物の鉄を
水が仲介して酸素と結び付く事を酸化(錆)と言いますので硫黄と結び付く事を硫化と
言いますので錆かどうかは別の話に成ります。
刃物を砥いでいると刃物が酸化(錆び)する事が有りますが主たる原因は、刃物の組織の
均一性及び成分が関係しています。又、砥粒の肌理が細かければ刃物から砥ぎ落した鉄も
細かく空気と触れる表面積が大きく成る為、酸化し易すく其れが刃物に付着する事に依って
貰い錆と成り刃物が錆びる要因の一つです。其れ以外に錆の要因に考えられるのが水道水の
塩素濃度も一つで塩素濃度が微妙に高ければ普段砥いでいても錆び無い刃物でも目を離した
僅かな時間で錆を発生させる事も有ります。(平成25年10月12日追記…)
別の原因では砥糞の中の成分が水と化学反応を起こす事で砥汁の中の鉄分と反応する事で
刃物に影響する物と思われます。良く白紙が錆び易いとか青紙が錆びにくいとか良いますが
経験上、余り関係無いと思います。ステンでも錆び易い物が有り基本的に鋼は化学反応を
起こし易いので砥ぐ際、手際良く砥ぎ研ぎ終えれば速やかに水気を切る事が基本です。
勿論、刃物を使用して水気が有る場合は速やかに水気を取る事が酸化(錆)の発生を防ぐ事
に成ります。ステンの刃物も例外では有りません。
又、砥ぐ際に水を溜めて砥ぐ方が居られますが正直、御勧め出来ません。水も余り替えず
溜めた状態では溜めた水が砥粒や鉄の成分が化学反応を御こし有る種の水溶液を形成し
PHが上下して砥いでいる最中、刃物が化学反応を起こすので流水が確保出来る場所で
砥ぐのが基本に成ります。又、番手の違う砥石を同じ溜め水で使うと粒度の違う砥粒が
溜め水の中で混合し刃物の表面に傷を付け思う様な仕上がりに成りません。
仕上げ砥の山の種類…
壹:本石成り=堆積の場所が放散虫の泥の供給源から遠く離れた場所で発生した粘板岩の
一種。砥石層が順に並んで堆積しています。尚、山に寄っては有る種類の層が飛んで
いたりします。研磨力は最上ですが筋(触る筋及び触らない筋)が多く金や石も挟み
また針(レコード針)の様な金属上の物を噛んでいる場合も有り注意が必要です。
名倉を必要とする石も多いのも特徴です。若狭・相岩谷及び高島妙覚や菖蒲谷・
中山・大突・鳴滝・月乃輪が該当します。別名、鳴滝・向田系(西端は月乃輪)
貮:合石成り=堆積の場所が放散虫の泥の供給源に一番近い所で発生した粘板岩の一種。
砥石層と金(カネ)が板目上に交互に堆積しています。研磨力は本石成りと比較
すると若干、劣りますが筋が少なく金や石を噛まず品質の安定した石が取れた。
本石成りや中石成りにが該当する巣板は白系に該当します。白系には巣が入って
いません。層が本石成りと層が違い八枚や合さ等は有りませんが上層から本白・
中白・白・鱗・天上戸前・本戸前・敷戸前・敷等の層が有ります。
富田日照山及び弓削八丁や大野・美山・芦谷・大内・朝日山が該当。別名、
弓削・日照山系。
参:中石成り=堆積の場所が本石成りと合石成りとの中間の所で堆積した粘板岩の一種。
砥石層が天井巣板・並砥層・本巣板層の三層から構成され上下巣板層が全体に薄い。
並砥層では金や皮及び石等を殆ど噛んでいない為、24型以上の大判が取れた。
又、並砥層は層が分厚い為、本石成りの並砥層とは違い多彩な色の砥石が採れた。
愛宕山及び大平や奥之門・新田・八箇山・八木乃嶋・神前が該当。別名、愛宕山・
大平系。中石成りは山城国と丹波国の境に有る愛宕山から北に分布し
西端は亀岡市神前地区に成ります。西物は中石成りや合石成りと断言します。
中石成りの山でも赤ピンや戸前・合さ等の名前で販売していますが恐らく色合いで
判断し名前を付けています。法的には問題無し・・・
仕上げ砥各層の名称…
上~…(注:本石成りの層です。)
イ:赤不動…(赤ピン)=砥石層の一番上層ので暗赤色で肌理が細かい石が多い。
皮切り包丁の仕上げ砥として需要が有りました。
菖蒲谷や月乃輪・鳴滝が有名。霞系…
ロ:天上巣板=触る筋等が多い。内曇りは此の層から産出される
普通の天井巣板は本焼き包丁の最終仕上げ用。最終仕上げ。
内曇りは本焼き包丁や刀剣用の最終仕上げで使用し地引き用は堅目の
石を使い刃引き用は軟質の石を使う。菖蒲谷及び中山が有名。曇り系。
ハ:八枚……=天井巣板の下の極道層を挟んだ下の層で堅質。用途は裏押し用か
糸刃付け用。現在市場では殆ど見当たら無い。高価。最終仕上げ。
二:千枚……=八枚の下の極道層を挟んだ下の層で硬質で裏押し用か糸刃付け用。
層が薄く戸前の直上に有るので戸前層に分類される事が多い。
市場では殆ど見当たらない。鏡面仕上げ…
ホ:戸前……=堅めで肌理が細かく研磨力が強く殆どの刃物の最終仕上げとして利用され
多彩な石を産出。堅目の石は地を引き易いので注意が必要。相岩谷及び
高島妙覚・菖蒲谷・中山が有名。光沢系…
へ:合さ……=硬くも無く柔らかくも無く標準的な堅さの石が多く滑らかで扱い易い。
品質が安定していてい万人向け。初心者から職人・玄人迄無難に使える
万能型。菖蒲谷・鳴滝・月乃輪が有名。霞系…
ト:並砥……=余り硬くも無く柔らかくも無い癖が有り色彩が地味で見栄えが冴えない。
人気が無く並砥で販売すると買い手が付か無いので大上か合せ表記で販売。
チ:並砥際巣板=並砥と敷巣板の間の層。性質は並砥に近い。若干軟質で巣が完全に無い。
玄人目でも判断は難しい。並砥に分類される事が多い。霞系…
リ:敷巣板…=筋や皹等が多いが研磨力の強い石が多い。菖蒲谷及び中山や奥殿が有名。
霞系…
ヌ:敷白……=本巣板の下の極道層の下に有る層。若干、目が粗く研磨力に乏しく軟質。
市場では見掛け無い。合石成りでは敷が該当。菖蒲谷及び日照山で産出。
産出量は左程、多く無く主に共擦り用に使用・・・
ル:墨板……=敷白の下に有る砥石層。真っ黒な石が出る。柔らか過ぎ砥石には向かない。
ヲ:極道……=堅過ぎるか金や石や砂等を噛み木綿針の様な金属を噛んでいて砥石としての
利用価値の無い層…
*:合せ砥…=合せ砥の呼び名の説は色々と有り益すが一説に寄ると砥石と砥がれる方の
技量と刃物と合わせる所から来たとか…また別の説では仕上砥の肌理の
細かさや卯色系の砥石は見た目は若い女性の肌の様な感じる為、此の様な肌
の肌理の細かい女性と肌を合わせたい(性交)憧れから懐けられたとか?
(仕入先に寄っては単に合せと巣板位しか区別していない業者も有るので此の場合、表記
を合せとして販売しています)又、巣板の巣無しでも並砥に近い巣板も有るので合せ
表記の方が販売する側とすれば無難です。
(天上巣板及び本巣板(敷巣板)巣板層には巣無しの石も有り筋等が無ければ極上品、
及び上質な石として扱われ高価な石が多い)
色に寄る名称…
一:黄板=黄色い石の物。戸前層の極上の石が多い。相岩谷及び菖蒲谷・中山が有名。
二:卯色=卯色は卯の花の暖白色系の色を指しますが印を作る際、卵色が製作者と此方の
校正の確認不足で卯色で気付かず其の儘、印が出来て仕舞いました。
止むを得ず使用しています。此処では卯色は卵色及びクリーム系を指します。
卵色は相岩谷及び中山が有名。
三:色物=赤紫及び赤緑色の石。高島妙覚及び菖蒲谷・中山・大平が有名
四:小豆=小豆色をした石。合さ層に多い。高島妙覚及び菖蒲谷・月乃輪・鳴滝が有名。
五:浅葱=青緑色の石。堅目の石が多い。大突及び菖蒲谷や中山・八木乃嶋が有名。
六:浅黄=黄緑色系の石。左程、堅くは無い。菖蒲谷・中山及び大平が有名。
七:赤口=暗褐色で地表に近い所で産出されている為、水や酸素の影響を受けて
受けている。菖蒲谷及び月乃輪・鳴滝が有名。
八:青口=濃灰青緑色の石。非常に堅口の石が多い。大突及び御廟山が有名。
九:白口=本巣板や敷巣板に現れる。西物の大平及び水木原及び奥之門が有名。
十:黒口=真黒い石で超堅口。殆ど砥糞が出無い。大突・大谷が有名。
十一:羽衣(はごろも・うい)=白鳥の羽毛の様な透明感の有る白系。出る事が稀。
大変貴重。合い石成りでは本白や本石成りや中石成りの
天上巣板にも出る。大平・奥之門が有名。
模様に寄る名称…
1:梨地=戸前層に現れ梨地模様が入っている。傷や筋等が無ければ極上品として
扱われる。相岩谷・中山が有名。
2:胡麻(芥子)=砥面に細かい芥子の実の様な模様が入っている。八木乃嶋が有名。
3:羽二重(八重)=合さ及び戸前層や八枚に現れ肌理が細かい。傷や筋等が無ければ
特級品として扱われる。中山・菖蒲谷が有名。
4:木目=主に戸前・合さ層に現れる。若干堅さに斑が有るが見た目が美しいので人気が
有る。中山が有名。(羽二重や木目寄り模様が細かい瑞雲模様が有る)
5:烏…=全層に現れる。本巣板及び合さや天上巣板が名高い。高島及び菖蒲谷や大平が
有名。良質な物は高値で取引される。
6:墨流し=水面に墨を流し込んだ様な模様。巣板層に多い。菖蒲谷が有名。
7:蓮華=本巣板の白色系に多く蓮華模様が入り美しい。砥石の美術品と呼ばれ
傷や筋等が無く角物で有れば極上品として扱われる。大平及び奥之門
が有名。
8:紅葉=本・巣板に現れ赤や黄色の模様が入り傷等が無く角物なら高価に成る。
大平・菖蒲谷が有名。
9:鯰…=並砥層に多く鯰の腹の様に斑模様が入る。堅さに斑が有り特に黄色の
模様は、全体に軟質な物が多い。
10:柿渋=以前は産地不詳で柿山砥で紹介していましたが柿渋模様は柿の木を製材
した時に柿木特有の渋味の元タンニンが含まれ柿木特有の模様が縦に入り
柿渋模様と懐けられたそうです。因みに柿木は製材にしても腐りにくい。
寸法に寄る名称…
①尺物:縦300㎜以上×横90㎜以上×厚み30㎜以上…
②大判:縦270mm以上×横90mm以上×厚み30㎜以上…
③特大:縦240mm以上×横90mm以上×厚み90㎜以上…
④24型:縦210mm以上×横80mm以上×厚み60㎜以上…
⑤30型:縦205mm以上×横75mm以上×厚み30㎜以上…
⑥40型:縦200mm以上×横70mm以上×厚み30㎜以下…
⑦60型:縦200㎜以下~180㎜以上×横60mm前後×厚み20mm以上…
⑧80型:縦180㎜以下~160㎜以上×横60mm前後×厚み20㎜以上…
⑨100型:縦160㎜以下~140㎜以上×横60mm以下×厚み20㎜以上…
⑩桟型:縦180㎜以上×横50㎜以上×厚み20㎜以上…
⑪レザー型:縦120㎜以上×横80㎜以上×厚み20㎜以上…
⑫昆布切り:縦150以上×横100㎜以上×厚み20㎜以上…
⑬小型品:縦100m以上×横40㎜以上×厚み20㎜前後…
⑭規格外:上記の規格から外れている品…
⑮木っ端:端材を利用した品・定形外…
⑯原石:鏡面部を仕上げていない掘り出して斫った状態の石…
(尚、上記の表は、各資料を参照して独自に解釈し独断と偏見で記入して
います。各、卸業者は規格の統一を図っていない為、各寸法の解釈が違い
ますので飽く迄、参考程度に含み置きを御願いします)
名倉砥の種類…
細名倉…(現在、角物は市場に出回っていない)準仕上げ。
ア:天井=名倉層の最上部に有る。目白・細寄り軟質で砥糞が出やすい。鉋・鑿用。
イ:目白=品質が安定して細名倉の中で一番堅く肌理も細と同等です。本焼き包丁・剃刀用
ウ:細 =刀剣用として使われていました。程良い堅さで研磨力が一番強く肌理が細かい。
中名倉…(現在、角物は市場に若干残っている)中仕上げ。
エ:牡丹=細名倉寄り肌理が粗い。層が薄いので角物は非常に少ない。研磨力は強いが砂を
噛んで居る場合が有る。
オ:八重=名倉層の中で一番研磨力が有る。砂を噛んで居る場合が多い。
カ:蒸 =気泡や砂を噛んで要る事が多く余り使用されない。
キ:厚 =刀剣や本焼き包丁の中仕上げに使われ厚物が残っているのが此の層。
ク:番 =名倉層の中では一番堅く目が粗い。中砥用。
ケ:敷 =針を噛んでいる場合が有り使用されない。
御吉兆の品質基準…
御吉兆は仕入先迄、出向き自分の目で目利きし一級品以上の物を仕入れています。
一級品以上の品質の物を5段階に基準を設けていますので一つの目安にして下さい。
(其の日の気分に寄って基準が変わる事も有ります。また其の都度、見直しています。)
Ⅰ:極上=完璧で完全無欠な商品…
Ⅱ:特上=極上に準じる商品…
Ⅲ:最上=特上に次ぐ品質。若干の筋(触ら無い筋)や欠け等が有る…
Ⅳ:優良=最上級以上の石で品質に問題無いが触らない筋や皹・欠け等を有する場合…
Ⅴ:印無し=1級品の石(優良以上の品質の石も有り。只の押し忘れ…)
Ⅵ:印無し(並品)=2級品では無い物の1級品としては憚る様な品質の石…
Ⅶ:印無し(2級品)=皹や触る筋が入っていたり石や砂を噛んでいる品質の悪い石。
販売するのも躊躇したり頭を抱える様な石・・・
砥石及び研ぎ・砥石山用語…
合い金(あいがね)板目に付いた金属状の薄板。
乾上(あがり)板目に沿って通り口が開く割れる確率が高い。叩くと鳴く音が前兆…
暴れる(あばれる)鏡面が何時の間にか凸凹する。表現的には石が暴れる…
荒れ(あれ)砥石層を断つ断層。正断層・逆断層等…
合せ(あわせ)巣板を含めた仕上げ砥を指す。
石が反る(いしがそる)長年、地中で圧力が掛かった状態で年月が経っていたのが
掘り起こされると長年掛かっていた圧力から解放され原石なら長年、
放置したり成型した石も長年使用せずに放置すると石の中の水分や油脂分が
抜け稀に両端が引っ張られる様に成り反ったりします。反ってしまうと凸面が
半分に割れてしまったり、巣板の場合、層に沿って剥がれたりします。
原石の場合は土に埋め戻したり成型した石は長期に渡って使用しない場合は
新聞や布に包み温度や湿度の影響の少ない冷暗室で保管したりします。
原石の場合は反る前に割れる事が多いそうです。
芋石(いもいし)青砥層に多い、此の石が出ると大採れする確率が高い。
煙硝(えんしょう)硫黄分が含んだ暗青緑色に変色した石。硫黄臭がして砥いでいると
刃物が硫黄と結び付き硫化して変色する…
金(かね)硅酸質の硬い板。叩くと金属音がするが金属では無い…
牙目(がめ)黄鉄鋼の筋で板目に沿って走っている物は商品に成るが層に対して斜めに
に走っているのは商品に成らない。砥ぐと滑ったり刃物に当ると刃が欠ける。
皮(かわ)板目に付いた厚い皮。皮の特徴から産地を判断する?断定する程、確証は無い!
環巻(かん)茶褐色系の木目模様。表面の硬さに斑が出る…
軋(きすい)石に粘り気が無く硬質。
牙(きば)硅酸質の硬質の石。鋭角に割れる。
京都天然砥石組合(きょうとてんねんといしくみあい)戦後、天然砥石の需要が高まり
昭和30年代後半~40年代前半は天然砥石の採掘量が最盛期を迎えた。
此の頃、品質の悪い石も市場に大量に出回り品質面は元寄り信用や価格
面からも低下を招いた事から信用回復と品質向上を目的とし昭和45年に
組合が発足した。昭和40年代後半には組合員数は30件を超えたが
昭和50年代に入り人造砥石に市場を奪われ採掘者の高齢化に伴い後継者
不足も追い打ちを駆け組合員数は減少の一途を辿り平成30年現在、
5件のみと成ったが天然砥石は日本の伝統文化を陰の主役でも有り今日も
文化及び伝統継承の為に日夜、寝食を忘れ奔走している。
腐(くさり)水や酸素に触れて風化した荒れた石。
曲者(くせもの)水を吸うと割れる石の総称。鏡面以外は必ず養生するが鏡面からも水を
吸うと割れる事が有る。伊予砥、対馬砥・浄慶寺が有名。経験上、上野・
太助砥も割れたので現在流通して居ない中砥の半数は割れ易いと思う。
過去に普通に保管していて夜中に大きな音がして音の発生源に見に行くと
砥石が勝手に割れていた経験も有ります。仕上げ砥も中石成りの並砥層は
大物が多いが割れ易い。山に寄り割れ方に特徴が有る。大平や奥之門は
層割れ起こし状態に寄っては使用出来るが愛宕山は粉砕し使用不能と
成る。本石成りでは木津山が有名。此処の山は層に対して垂直に割れる。
個人的な経験として砥石は全体に勝手に割れ易いと思います。
極道(ごくどう)筋や金を挟み極端に堅く荒れて利用価値の無い砥石層。
胡麻(ごま)面に出る胡麻状の異物。刃物に当る。八木乃嶋に出る胡麻模様とは違う…
冴(さえ)濁りの無い透明感の有る色合いと光沢。高級品に成る…
錆(さび)砥石に鉄錆の含んだ不純物が入った石。暗褐色に変色。人気が無い…
触る(さわる)鏡面を指でなぞると微妙に指の感触に触る箇所の事。刃に当る…
地を引く(じをひく)地金を引くとも言う。砥面の中に目に見え無い堅い粒子が
混じり刃物に傷を付ける…砥いでいると嫌な感触に襲われる。
正本山(しょうほんざん)本山砥石とも言う。語源は平安末期、山城国梅ヶ畑荘に住む
本間藤左衛門時成が菖蒲谷で地上に露出していた砥石層を見付け原石を加工し
後鳥羽上皇に献上した事から朝廷で上々の評価を得、後に幕府から日本鑛石師棟梁
に任じられて梅ヶ畑荘地域の採掘権を独占し本間氏の山から採掘される砥石なので
本山砥石と懐けられる。時代が下り採掘権利者が増えた事で本山砥石が乱立した
事から本間氏が正本山と命名し差別化を図る。更に時代が下り鳴滝~高雄及び
月乃輪迄、鉱脈が有る事から此の地域の産出される石を正本山と呼ぶ事に
成り広義的に山城国から産出される石を正本山と呼ぶ事に成ったが国境の愛宕山
寄り北の丹波地域でも鉱脈が発見され丹波産の石も流入する事態と成り仕上げ砥
の事を正本山と呼ぶ事に成った。此処20年前迄は一部の銘柄を除き正本山で
通ったが最近は産地名に拘る様に成った。
巣(す)巣は二種類有り面に瓦斯が抜けた後が面の一部分と板目の層に沿った荒れた層。
板目に水平に瓦斯が抜けた形跡の有る石は商品価値が高い。面の一部分に出る
瓦斯の抜けた後は触る。2つ目は石の中に瓦斯が閉じ込められ空洞に成っている。
筋(すじ)筋は3種類有る。生き筋・金筋(当たる筋)死に筋・鼈甲筋・毛筋(刃物に
当らない)盲筋(目に見えない筋)当たら無いが筋が鋭角に入っているので
剃刀で切断した様な割れ方をする。見え無いので判別は無理…
砂(すな)砂を噛む。鏡面に砂の様な異物や粒子の粗い砥粒が出ている。当たる…
石餅(ずり)排石・屑石。商品価値は無い…
層割れ(そうわれ)頁岩等で層に沿って割れる事を言う。巣板に多い。
付け(つけ)石の側面に付く薄い皮。
鶴(つる)砥石の鉱脈。
砥石博物館(といしはくぶつかん)平成29年4月に京都府亀岡市に有った外資系の大学の
跡地に天然砥石館として開業。全国の砥石を個人で本格的に集めていた物を
展示。海外の砥石も展示して有り当店で販売した砥石も数点有ります。京都
仕上げ砥の7割近くは展示して有ります。天然砥石だけの博物館は日本初です
元々は亀岡市内で産出された砥石だけを展示すると亀岡市は青写真を描いて
いた様ですが実際は違っていて色々と有った様です。亀岡市は一切、関与
していない。又、有る京都天然砥石組合の組合員に開業前、話を持ち掛けた
そうです。条件として一度、天然砥石組合に挨拶に行く様に助言したそうです
結局は出向か無かった事。其の後、話は有耶無耶に成ったとの事。
京都天然砥石組合も一切、関与してい無い。風の噂では色々有る様です。
博物館の話題は此方でも紹介しています。参照資料…
飛び金(とびかね)板目に張り付いた金属状の塊。
成り(なおり)大採れする鉱脈。
沼田(ぬた)極軟質の粘板岩。砥石に向かない。
濃(のう)板目に入る傷や皹。落とすと問題が無い…
法(のり)鉱脈で出っ張って膨れた壁。危険が伴うが大採れする確率が高い。
肌(はだ)板目に付いた薄い皮。肌の特徴で層の特徴を推察する。現実は判断は困難…
肌が荒れる(はだがあれる)鏡面に細かい砂等が出て鏡面が微妙に凸凹している…
石粒(ぶつ)板目に張り付いた硬質の石。刃物に当ると欠ける。
呆気(ぼける)石が軟質で研磨力が無い。
饅頭(まんじゅう)砥石の中に硬質の塊が入っている。硬質…
役(やく)各層の中で1~3枚程取れる特級以上の品質の石。
焼け(やけ)鏡面状に出る暗褐色の焼けた地肌。砥ぎ斑が出る…
平成以前の職人や玄人の天然砥石の収集の方法…
昭和寄り以前の職人や玄人等の砥石の収集の方法に付いて先ず天然砥石は自然石を加工
した石で有り筋も有れば欠けや皹も有る物は有る程度、承知しています。又、相性等も
有り自分の相性が有り気に行った砥石と言う物は十丁に一丁当るかどうかと言う代物です
先ず、刃物屋や砥石屋に出向いて自分の気に入った砥石に出会うと週一~一年の周期で
同じ店に出向き御足の続く限り少しずつ買い求めます。特に良い砥石に出会えれば暇を
見付ければ同じ店に出向き買い求めていきます。其の中には価格以上の価値の有る
相性の合う砥石が混じっているので此の石を最高の舞台で使用する為、後生大事に
大切に締まって置きハレの舞台で使用し最高の仕事を遂行しています。
天然砥石とは当り外れは承知の上、自分自身の投資と勉強と考え御縁を大切にし
苦情等は極稀でした。所が平成に入ってから消費者優先の意識が強まり人造砥石を
最初に使う様に成りJIS規格に合致している高級人造砥石から興味本位で天然砥石に手を
出す様に成ります。値段も高級人造砥石と略、同じ価格帯の天然砥石最初に手を出すので
想像していた石と違う場合が多々有り益す。又、天然砥石に付き欠け皹・筋等が有り
自分の想像にしていなかった石に対して平気で苦情を言い此方に非が有るかの様な
言い方をしてきます。同じ価格の高級人造砥石と天然砥石では40型でも違います。
高級人造砥石寄り其れ以上の能力の石を買い求めると桁が一つ上がるのは当然の事です。
業者も良い石は在庫が少なく中々市場に出して来ません。自分も投資と勉強の積りで
多くの石を買い集め大いに知識が増えました。今、自分が使っている天然砥石は相岩谷と
中山・一本松しか使いません、残りは塩漬け状態です。100丁以上の砥石の中から一番相性
の良い石は、五丁程です。今から天然砥石を使用して見様と考えている方は嫁さんを
探す積りで天然砥石を捜して見てはどうでしょうか?最初は値段の手頃な菖蒲谷や
大平の石から手を出すのが良いと思います。行き成り中山や大突に手を出しても
天然砥石が使い手を選びますので多くの方が其処で壁に衝突してしまいます。
嫁選びと一緒で良い石に出会える迄、レザー型やサン型・80・60型等は価格も少し値が
張りますが其の中に自分に有った石が見つかります。女性と付き合うのと一緒で最初の
初期投資は必要です。良い石が見つかれば40型や30型を買い求め一生の宝として下さい。
天然砥石は女性と付き合うのと同じで一人の個性と考え自分に対する知識向上と考えれば
苦情等は言え無く成ります。此方も良い石を探し求めますので一緒に良い嫁選びを
してみればどうでしょうか?又、人造砥石と同じ様に考えている方は、天然砥石は
品質がばらつくのは当たり前なので最初から日本工業製品に合致した人造砥石を御勧め
ます。
人造砥に付いて…
現在、人造砥の実力は高性能・高品質・低価格で一部は天然砥をすら上回った製品すら
出回っています。30年以上販売されている定番商品でも品質向上を図り日進月歩で品質面
で向上されています。同じ商品を買っても安定した品質を得られています。(厳密には
色々な条件に左右されますが市場に出される商品にはJIS規格に合致していますので問題等
は有りません)今では人気が高く圧倒的に市場では人造砥石が主流を占めています。
巷では人造砥が天然砥を越せない理由として刃先を硬化作用や内曇り効果の現れる人造砥
が出ていないと言われていますが刃を硬化する作用は科学的に実証されていますが硬化
作用に伴う欠点も有りますので人造砥石で刃先を硬化する利点が有りません。
又、内曇り効果に付いては一部の人造砥石製造業社が独自で研究して原因を追究し解明
しています。現に試作して内曇り効果を実証していますが商品化して市場に出すのと話は
別で、当面市場には出さないそうです。
名倉砥に付いて…
名倉砥とは、別名白名倉とも言い対馬砥(黒名倉)に対して名付けられた物です。現在名倉の角物は略、消滅しています。入手は9割方近く無理です。
一部の種類では、まだ厚みの有る物も残っていますが非常に高価に成っています。
名倉砥と言われる名倉砥の産地は、愛知県旧北設楽郡三輪村。戦前は軍の管轄。
戦後は林野庁所属・営林署管轄の山から産出される砥石で戦前から国の許可を取った卸問屋から
仕入れて販売行います。名倉の細かい層の特定は出来ませんので白名倉と名付け販売します。
対馬の黒名倉や伊予名倉も有ります。
現在、販売されている名倉と言われている多数は三河砥を加工した物が混じっていたり
します。悪質な業者は、三河砥では無く目の粗い備水砥を債の目状に加工して名倉砥で
販売していたり青砥を債の目状に加工して黒名倉で販売していたりしますので注意して
下さい。(初めから代用名倉で販売すれば問題無いのですが…)
但し、代用で使うとなると中仕上げ以上の砥石が無難です。荒砥等は目が粗く代用には
向きません。
備考…
詳細は伏せますが名倉の件に関して複数の卸業者から色々と意見を伺っています。
浅野印の名倉を希望される方は販売されている所を探して下さい
拘ら無い方は、当店でも名倉は販売しています。
上記の通り中仕上げ及び仕上げ砥の破片でも十分に名倉の代用になります。
自分や砥石に有った名倉を探して下さい。
追記…
此の事は伏せて措いた方が良かったのか判りませんが敢えて言わせて貰います。
某地区の某大工道具販売店で某印を突いたのが本物の名倉と公言していますが果たして
如何な物何でしょうか?確かに京都の卸問屋や当店は名倉の細分化は行っていませんが
真面目に商売をしています。京都の某卸問屋に「細名倉で販売するな!」と難癖を付けた
と思えば同じ卸問屋から大量の名倉を卸して貰ったり話では他の砥石屋から中名倉
の角物を仕入れたとの話を聞いています。此方も同じ卸元から名倉を仕入れています。
京都の砥石屋さんも同じ名倉を販売をしています。果たして其れが偽物でしょうか?
卸して貰った名倉を某印を押して此れが本物の名倉と販売をしているのでしょうか?
某印が押して有れば其れが本物の名倉に成るのでしょうか?御公言を拝聴したい物です。
此方が京都の某卸問屋で白名倉を仕入れ其れを知人が購入し此方から仕入れた事は伏せ
某大工道具屋に送り鑑定して貰った結果、本物と鑑定されています。京都の某卸問屋は
戦前、内務省から販売許可を取り大量の名倉を仕入れ京都の卸問屋に卸していました。
寄って京都の卸問屋で扱っている名倉は出所は某卸問屋しか有りません。
此の件に関して何か感じる物が有れば少なくともホームページ等で他の店が扱っている
名倉は偽物が多い様な他の方に誤解を与える文章は削除して貰え無いでしょうか?
現に京都の卸業者とは御互い付き合いも有る事ですし御互い商売の事に関しては詮索や
干渉をする事も望ま無いので他の砥石屋は知らぬ存ぜぬ判りません!で通した方が
角も立たず良いと思うのですが如何でしょうか?(平成27年10月31日日曜日更新…)
砥石の選び方…
砥石の選び方としましては人によって色々と好みが有ります。又、刃物でも和鋼
(本焼き・合わせ)ステンや色々な種類の鋼が出ていますので刃物に合った砥石を選んで
下さい。一般的には、初心者から初級者の方は柔らかい石が良いと言われています。
包丁の最終仕上げには堅口の石が良いと言われていますが初心者が堅口の石に手を出して
手に負える代物では有りません。
刃物に関しても和包丁は柔らかい石が良い結果が出ると思います。又、ステン系洋包丁
の場合は、固めの石が良いでしょう。此の場合、人造や天然は関係有りません。
又、個人の相性や感性に寄り100人一色で此処に違いますので自分に合った砥石を捜して
下さい。
尚、基本柔らかいステンレスの刃物は堅い砥石が向いていますが例外が有りV金10号や
刃物鋼の分野で注目を浴びているATS34・粉末冶金の技術を取り入たZDP189と言った
ステンレスは堅過ぎ堅い砥石で砥ぐと御互い反発しますので柔らかい東物の菖蒲谷や
鳴滝・月乃輪が向いています。又、玉鋼や青紙1号・青紙スーパー・白紙1号・2号等は
東物の菖蒲谷や鳴滝・月乃輪が向いています。西物の中石成りや合い石成りでは砥ぐ
のに難儀します。亀岡市で産出される某砥石では上記の刃物では歯が立ちません。
伊達に玉鋼で出来ている日本刀の仕上げに鳴滝・月乃輪の東物が指名されるのは
先人たちの経験が生きているからです。
荒砥・中砥に付いて…
荒砥・中砥に関しては人造砥石が安価で高性能・高品質で天然砥を上回っていますので、
拘りが無ければ人造砥石で十分です。
又、仕上砥でも最近は天然砥石を超えた人造砥商品が登場しています。
業者間や職人の間で根強い人気で安価な砥石も有りますので初めての方は人造砥石で又、
使い慣れて来れば高価な人造砥石及び天然砥石を選ぶのも選択の一つです。
砥ぎに付いて…
一般家庭では週に一度、仕上砥で少し研ぐだけで切れ味が十分戻ります。
少し切れ味が悪く成っても中仕上げから始めると十分、切れ味が復活します。
切れる包丁で野菜を切れば細胞組織の損傷が少なく腐敗の進行が遅れ野菜の鮮度を
保ちます又、新鮮な野菜を良く切れる包丁で切れば切断面から細胞が修復を試みて
芽牙が出たりします。切れない包丁で切れば細胞の損傷が激しく其処から雑菌が増殖し
腐敗の進行を早めたりします。又、生野菜を千切り等で食卓に上げた場合、野菜特有の
生臭さ が残ったり冷水に浸しても変色したりして見た目も悪く食感も良く無いでしょう。
煮物に関しては煮崩れの要因に成ったりします。
週一度、10分前後の時間を研ぎの時間に当て研ぎ味が戻れば、料理の腕前も自然に上がり
自分や家族の健康増進にも繋がれば一石二鳥と思いませんか?
嫁入り道具に高価で良い包丁を購入したりしますが後の砥石とか俎板等は無頓着な様な
気がします。高価な包丁も研がなければ只の無枕(なまくら)包丁です。一般家庭で
良質な(高価な事では有りません)包丁・俎板・砥石を揃えて置けば生涯に渡り使える
でしょう。自分に合った砥石や刃物・俎板を見つけて下さ い。
屹度、刃物に取っては守護神と成り貴方に取っては最強の友に成るでしょう。
刃物を初めて砥がれる方へ。
刃物砥ぎと言うのは大半の方は自己流で砥がれていますが正直言って阿呆でもチョンでも
簡単に砥げると言う程、単純では有りません。例えば神社やスーパー等で刃物砥ぎの
人に「素人でも簡単に研げる様になれますか?」と聞くと大半は「素人では無理だ!」
と言われるのが落ちです。何故ならば砥ぐと言う基本知識が無いので自我流で砥いで
いると砥げている感覚に成り丸刃に成っても良く切れる様な錯覚に陥ったり切れない
のは刃物が悪いからと決め付けたりします。又自我流で砥いでいると刃物が変形
しても気が付かない場合が多々有ります。此れは単に砥ぎの基本的な知識が無いばかり
で有って基本的な知識が有れば回避され誰でも場数を踏めば安価な刃物も鋭い刃を
付ける事が出来る様に成ります。半世紀前迄は親が子に師が弟子に先輩が後輩に
躾けと共に基本的知識を伝授していましたが、こうした伝統は今では殆ど廃れて
しまいました。然し現在では情報が溢れ簡単に研ぎの知識が手に入る時代ですが
飽く迄も自我流の域を出る事が出来ません。此れは其の人が持つ癖が有り幾等、情報
が有っても其の人の癖を矯正する事は出来無いからです。自我流で砥がれている方は
一度、砥ぎの専門家を訪ね教えを請い自分の欠点を指摘を受け指導を受けるのが一番
ですが出来なければ人が砥ぐのを見学するのも一つの方法です。見学すれば必ず
一つは得る物が有ります。此処では砥ぎに関する基本的な心構えを伝授いたしますが
最低限の知識で有って砥ぎを追及するなら此れからも色々と精進を心掛けて下さい。
最初に刃物は道具の一つで有り有益な反面、危険性が有り注意を怠ると使う本人が怪我を
したり他人を傷付ける事にも繋がるので扱う人の心構えとして①人に刃物を向けない。
②自分自身が怪我をしない。③道具を大切に扱う。事が最低条件と成ります。
最初に包丁を砥がれる前に包丁の種類や砥石の種類を覚えて措きたい事が有ります。
先ず包丁ですが大きく分けて洋包丁と和包丁に分類されます。現在、家庭で普及されて
いるのが三徳包丁が一番普及していますが日本で開発された洋包丁の一つです。
最低包丁を揃えて置きたいのが有り三徳・片刃・菜切・牛刀の何れか柳刃とペティーナイフ
の3丁は揃えて置きたい物です。三徳包丁だけで済ませる方が大半だと思いますが何かと
不便だと思います。砥石の場合、大きく2種類に分けられます。種類は砥石の考察で
紹介していますので省きますが初めて砥ぎを始められるので有れば中砥(1000番前後)
中仕上げ(2000番~4000番前後)の二種類を揃えて置けば十分です。尚、天然・人造どちら
を揃えるのは好みにも寄りますが人造砥石の場合、製法の違いに寄り長所と短所が有り
注意が必要です。最初は安価な人造砥石を御勧めします。(魚を捌く方は刃が欠け易い
ので荒砥も必要に成ります)
研ぎに付いての基本は、①砥ぐ時、研ぎに集中する事。②刃の角度に注意を払う事。
③砥石の平面に気を掛ける事です。砥ぐと言う事は自分の心の内面を刃物に移す事に
成ります。気が立っていたり考え事をしながら研いでも刃が付く事は無く此の状態で砥ぐ
と刃が付かないばかりか大半は自分で怪我をしています。刃物を砥ぐと言う事は、切れ味
を求めるばかりで無く研ぎに集中する事に寄り精神面で気持ちを落ち着かせる効果も有り又
安全に調理が出来、料理の衛生面や家族の健康面でも貢献を致します。
最近の事故で調理給食の中から包丁の刃の破片が食材に混入し身体に入ってしまった事故
が有ります。此の事例は包丁を研ぐ事も無く刃が欠けても平然と使う方への警鐘だと
思います。自分が道具を大切に使う心構えが有り週に一度でも砥ぐ事が有れば刃の欠けは
未然に防ぐ事も出来、刃物を雑な扱いは出来ないと思います。普段から刃の状態を気に
する様に成ります。最後に砥ぎの極意は習う寄り慣れろです。是非、研ぎの場数を
熟して下さい。
編集後記 自分は砥ぎの講習を行いますので最低必要現の各包丁の砥ぎ方を知っています。 当然、自分が所有する塩漬け状態の包丁も最高水準まで切れ味を追及し刃先を上に向け 髪の毛を乗せると切れる状態にしています。最近、気が付いたのですが果たして其れが 実用的かと言えば正直、違う事に気が付きました。砥ぎを極めるので有れば其れはゞで 良いのかも知れませんが包丁は料理に使う道具で有って切れ味を追及する道具では無い のです。要は使う人が安全に使い易く切れば良いので有って此処の判断で切れ味を求めれば 良い事に気が付きました。巷で砥ぎが上達したとか切れ味が鋭く成ったと自慢の包丁を ネット等で公開していますが果たして其の人達が本当に包丁の使い方を理解し其の愛用の 包丁で料理が出来るのでしょうか?半数以上の方が包丁の基本的な使い方も知らず料理も 余り作る事をしないのではと思います。砥ぎの上達も必要かも知れませんが先ずは包丁の 使い方の基本を学び愛用の包丁を塩漬け状態にせず使用して料理の腕も上げる事も必要では 無いでしょうか?(自分は基本的な調理は出来ますが愛用の包丁は塩漬け状態です。) 自分は包丁の基本的な扱い方を自然と学んでいました。有る時期、就職先の横浜で洋食の 修業をしていた時期が有り其の後、神戸で新規開業する店舗の事情で一部、方向転換し 洋食(軽食)部門が無く成り予定されていた場所にワインとチーズコーナに変わったので 自分は其の後、パン職人の道を歩む事に成り学んだ事は仕事では余り生かされず違う場所で 生かす事に成り元々料理を作るのは嫌いでは無いので家でも時々料理を作る事も有ります。 当然、包丁使いも自我流で其処ゞ出来ます。 其処に昨年の12月と今年に入り数件包丁の使い方を教えて欲しいと言う要望が入り自分の 使い方が正しく人に教えられる状態か迷いながらも人に包丁の使い方を自己流で教えました。 其処で自分が学んだ事は包丁は料理に使う道具で有って切れ味を追及する道具では無いので 有って料理を楽しく作りながら美味しい料理作る道具で有る事を認識をしました。 平成25年1月26日 更新… |
平成27年3月3日更新…